組のちから
第7回 耶雲組

ROBOT社内で、作品を完成させるために日々さまざまに結成される“組”に迫る連載インタビュー。

第7回を迎える今回は、今春に劇場公開され8月にDVD&Blu-rayがリリースされる、
映画『暗黒女子』の耶雲哉治監督に、自身の“組”についての考え方や向き合い方について話を聞きました。

新人監督にして、ある種のベテラン。組の達人=耶雲哉治とは!?

耶雲組-Photo

プロフィール
耶雲哉治(やくもさいじ)
富山県出身。映画監督、CMプランナー、CMディレクター。2000年ROBOT入社。

 「3本目だからまだ新人監督なんです」。
確かに映画監督としては、長編デビュー作の『百瀬、こっちを向いて。』、TVドラマも手掛けた『MARS~ただ、君を愛してる~』、今春公開の『暗黒女子』と3本目ながら、新人どころかある種のベテラン。そしてさまざまな制作現場でさまざまなスタッフと形作られる“組”について達人なのが、ROBOT映画部の耶雲哉治だ。

耶雲:CMでスタートしたときから、“何でもやりたいし、何でもできる”って言ってたんですよ。最初にCMディレクターを任されたときも、グラビアアイドルの女の子を使ったCMだったので、とにかくかわいく撮ろうと。そのほうが楽しいし、こだわりがないというのが、自分にとっての強みなのかなと。

耶雲組-Photo

そんな耶雲に、自身の映像ディレクターの原点を聞いた。

耶雲:もともとテレビっ子で、バラエティの仕事ができたらいいなって漠然と思っていました。それがいつの間にか、たまたまこういうことになったという感じですね。
大学時代は映画制作のサークルに入っていて、しばらくは人の手伝いをしているだけでしたが、卒業直前に自分でも1本ちゃんと作ってみようと思ったんです。その作品が学生映画祭で賞をもらい、それが決め手になってROBOTに入社することになりました。
賞が取れたことに関しては、たまたまと言いたいのですが、正直、結構狙っていた部分はあります。当時の学生映画とはまるで違うものを作りたいと思って、青春映画の皮を被ったピンク映画をつくりました。出演者も身内ではなくて役者さんを使って、音楽もちゃんとしたものを使って、尺としても50分くらいの学生映画としては長いもの。しかもタイトルは『素人娘(秘)マッサージ』で、これは引きがあるだろうと(笑)。

「たまたま」と謙遜しながらも、周りを分析し、既存の形式にとらわれずに作品をつくりあげる。そんなこだわりが生み出す、新しさ。「常に新しいことにチャレンジしていたいという思いはありますね」と語る耶雲のものづくりの姿勢に、更に迫ります。