さまざまな出会いからつながって、そのつながりが組になって、新たに観客との心のつながり生む映画が作られていく。今でも人と会うこと、話すことを戦略としながら、結果、作品づくりにつなげているという西田と、そんな西田を支える明石。これからも良質なオリジナル作品を送り出していくに違いないふたりに、今後のビジョンについても聞いてみた。
西田:次はもうちょっと早めに撮りたいですね。ただそれも『泥棒役者』の結果が出てからですけどね(笑)。
明石:そこはもう『小野寺…』の実績がありますし、『泥棒役者』は皆様が大満足する作品になってますから(笑)。
西田:でも、最終的にはやっぱりどれだけ多くの人に観てもらったかですからね。いいものができたからそれでいいだと、ただの強がりになってしまう。ローバジェットでもいいからと小さい話を書いても、観てもらう人が少ないんだったら、最終的には意味がないと思うんです。そうなると、もうちょっと設定を大きくして、大きな座組みで予算組んでやらないといけない。そのへんは悩みどころですね。そこはこれからの課題でもありますね。
明石:私は西田さんにぜひ家族ものを書いていただきたいです。そう言えば『小野寺の弟・小野寺の姉』のあとに殺人鬼の話をやりたいって言ってましたよね?
西田:そうでしたね(笑)。戦略を考えたときに、振れ幅としてこっちをやったら次はそれとは正反対の方向のものがいいんじゃないかというのがあったんですよ。
ただ、まだ1作やっただけだったので、振れ幅を出すのは色がちゃんとできてからでいいのかなと。
明石:戦略も大事だけれど、私はまず「西田さんらしさ」を定着させる事が大事かな、と思いました。なのでハートウォーミングなお話が良いな、と。裏切るのはまだ先でもいいですからね。
西田:自分から言ってみたものの、いざ撮るとなったら全然できないかもしれないですし (笑)。僕、ベッドシーンの演出もできないと思うんですよ。
明石:演出ってその人の素が出ますからね。
西田:面白いベットシーンを作ってみたいな、という思いはあるんですけどね…。
明石:内容は違いますけど、タイトルで言うと『人のセックスを笑うな』みたいな? そのタイトルで西田さんが書いたらどうなるか、楽しみな気がする。
西田:“笑うな”だけれど、確実に“笑っちゃう”ものになるでしょうね(笑)。
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主に映画業界で使われる「組」というチーム呼称やものの見方で、さまざまなチームのちからの源泉や、組織論、コンテンツプロデュース論などを浮かび上がらせる、連載インタビュー「組のちから」。
西田と明石という制作陣としての「組」のタッグに話を聞いて感じたことは、なれ合いでも打算でもなく、ある意味、徹底してクールで、一方で絶対的信頼のあるパートナーシップ。自分のやりたいにブレもズレもなくエンタメ、しいてはビジネスにつなげていく西田の力、そんな西田の力を形にしていく明石の力。今の映画界で、まさに理想的なやり方でオリジナルを作り続けていく両者がこれからどんな作品、どんな在り方を見せてくれるのかにも期待したい。
テキスト:渡辺水央 写真(ポートレート):竹井美砂子/UR