明石:私は自分発信でオリジナルを作っていく才能はないと思っているんです。普段は原作ものが多くて、オリジナルを一緒にやるのは、今のところ西田さんだけ。他の方とオリジナルをやるというのは、なかなか想像しづらくて。たまに「(自分の企画や脚本を)読んでください」っていう持ち込みもあるんです。でも「読みません」って……。
西田:明石さんは結構そのへん、厳しいですよね。
明石:自分でこの人だ!って思えない限り、動けないです。(企画や脚本を)預かってしまって期待させるのも失礼ですし、それを読んでいないのに仮に自分が手掛けたもので同じシーンがあったときに「パクられた」って言われたりしても嫌なので。不器用なので、背負い過ぎると全部が中途半端になってしまう気がします。なので自分が「この人とは一緒に作れる!」って思えた人だけでいいのかなって。
西田:例えば助監督さんで、明石さんに「読んでください」っていうアプローチをする人もいるんですよ。僕も応援したいなと思うんですけど、明石さんは「いや、あなたのオリジナルは面白くなさそうだから」って(笑)。すごく厳しいんですよ。
明石:ここだけ聞くと相当ひどいですよね(笑)。
西田:いや、これがカーディガンを肩に掛けているようないかにも業界風のプロデューサーだったら、たぶん調子よく「あぁ、読んどく!読んどく!」っていうと思うんです。でも明石さんはそう言えないところがいいというか、言わないところが信用できるんですよね。社交辞令は決して言わない人。プロデューサーとしては珍しいですよ。
明石:西田さんは人間力が高いんだと思います。だから「幸せすぎて泣いちゃう、あったかくて泣けちゃう」っていう物語を作れるんじゃないかと。人が死んで泣かせる物語ではなく、笑わせながら、最後にちょっと泣かせてくれる。そういうものを書ける人って、少ないんですよね。これからも西田さんらしい素敵なオリジナル作品を幅広いお客様に拡げていければと思います。
*
難しいとされるオリジナルであっても、作品として世に送り出していくことはできる。ただ、そこにそれぞれの信念と「組」としての信頼がなければ、決して成立しない。その中でやりたいことを軽やかに、けれど確実に貫いていく姿勢とパートナーシップが西田と明石にはある。
*