人類が表現を通して探求し続けてきた普遍的なテーマを、ゾンビ×パンデミック×ブラック企業社員(社畜)という斬新な設定で描いたヒット漫画「ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜」(月刊サンデーGXにて連載中)。
Netflixにて実写化されたヒット作「今際の国のアリス」の原作者・麻生羽呂が高田康太郎(作画)と組み、2018年に連載開始した本作は瞬く間に人気を獲得し、2023年7月には「古見さんは、コミュ症です。」「サマータイムレンダ」といったヒット作にかかわったスタジオ・BUG FILMSによるアニメ化が放送開始。そして――満を持してNetflixにて実写映画化が実現した。
日本発・世界基準のクオリティを目指すゾンビエンターテインメントのタクトを任されたのは、『シン・ゴジラ』(2016)C班の監督を務めた俊英・石田雄介。映画にとどまらず、最先端技術を駆使したアトラクションや音楽ライブの演出も手掛ける万能クリエイターが、フレッシュな才能を吹き込んだ。新宿・歌舞伎町や青梅街道を舞台にゾンビの群れとチェイスするダイナミックなシーンの数々には、目を見張るだろう。
主人公アキラを演じるのは、飛ぶ鳥を落とす勢いの若手人気実力派俳優・赤楚衛二。夢と希望を抱いて制作会社に新卒入社するも、初日にブラック企業と知り、過酷な労働環境で社畜と化していく冒頭から、世界がゾンビパンデミックで崩壊したなかで、逆に生きる活力を取り戻す等身大の主人公像を、持ち前の爽やかさで軽やかに魅せ切っている。
そんなアキラと共に行動することになるシズカに扮したのは、白石麻衣。最初こそ毎日を全力で満喫しようとするアキラを「緊張感がない」と軽蔑していたが、彼に危機を救われ、心を通わせていく。白石が体現する、神経を張り詰めていたシズカが人間らしさを獲得していく“変化”に注目だ。
アキラの大学時代の友人でアメリカンフットボール仲間のケンチョを任されたのは、Netflixシリーズ「今際の国のアリス」ほか多数の作品で存在感を放つ栁俊太郎。ギャグからアクションまで幅広くこなす特性を生かした、面白く、頼れる相棒が誕生した。
アキラ・シズカ・ケンチョの前に立ちはだかるアキラのかつてのパワハラ上司・小杉役には、北村一輝。アキラに詰め寄るシーンの形相が凄まじく、「こんな上司は嫌だ」の説得力は抜群。さらに、市川由衣、川﨑麻世、早見あかり、筧美和子といった面々が加わり、唯一無二の世界観を創り上げた。
パンデミックの世界でも下を向かず、「ゾンビになるまでにしたいこと」リストを作って一つひとつ夢を叶えていくアキラたち。彼らの底抜けにポジティブな姿勢は、明日の見えない日々を送る我々に勇気と元気を与えてくれるはずだ。