渋谷から人影が完全に消えた……!
Netflixオリジナルシリーズ「今際の国のアリス」は、あらゆる点で視聴者の想像を鮮やかに塗り替え、怒涛の勢いで更新していく、とてつもない映像作品だ。
常に優秀な弟と比べられてきたことで夢や目標を失った有栖良平(アリス)。高校時代からの仲間である会社員のチョータとバーテンダーのカルベもまた、それぞれに漠然とした不満を持て余しながら日々を過ごしていた。そんな、「生きる意味」を見出せないアリスたちが、ある日突然放り込まれた“今際の国”。見慣れた渋谷でありながら誰一人いない街の様子に驚きつつも、煩わしい家族の目も、面倒な上司もいない世界の解放感に喜ぶ3人。しかし、唐突に命を懸けた“げぇむ”が始まり、彼らは世界が完全に変わってしまったことを知る。
どうやらこの“今際の国”で生きるためには、様々な“げぇむ”に参加し、クリアしなければならないらしい。理不尽な状況に戸惑いながらも、ゲームが天才的に得意なアリスは眠っていた観察力と判断力を開花させ、仲間と共に危機を脱する。やがて、たった一人で“げぇむ”に挑み続けるクライマーの宇佐木柚葉(ウサギ)と出会い、自分一人が生き残るだけではなく、他者と協力し、全員が“げぇむ”をクリアするために立ち向かうことを決意する。空っぽのディストピアとなった東京を舞台に、「生きる」意味を見出せなかった若者たちが、かつてないほどに「生きる」ことに正面から向き合っていく成長の物語。そして先読み不能のめまぐるしい展開。未知なる世界の全貌が徐々に見えてくるスリル。頭脳も肉体もフル稼働しなければ立ち向かえない“げぇむ”の新感覚と、VFX、美術、撮影により緻密に計算されたニューワールドの創造。個性豊かなキャラクターたちが極限状態で織りなす人間ドラマ。あらゆるファクターが、観る者すべてを画面に釘付けにする。
4度目の共演となる山﨑賢人と土屋太鳳をW主演に迎え、常に新しい挑戦を続けてきた佐藤信介監督がメガホンをとる本作には、どんな映画でも味わえなかった興奮と、どんなドラマでも体験できなかった高揚が待ち受ける。
日本発のNetflixオリジナルシリーズとしては初となる、破格のスケールで贈る新たなドラマシリーズ「今際の国のアリス」が遂に誕生!世界190ヵ国に独占配信される全8話は、映像の歴史を大胆不敵に変革するだろう。
理不尽な現実で、命を懸けた”げぇむ”に立ち向かう若者たちを演じる豪華キャストたち
極限状態で「生きる」という最大の欲望に突き動かされる人間たちのドラマをリードするのは、W主演の山﨑賢人と土屋太鳳。
映画『キングダム』(19)に続き再び佐藤監督とタッグを組む山﨑は、人生に夢を見出せず曖昧に生きてきたが、眠っていた観察力と判断力を開花させ異世界での危機に立ち向かうアリス役を、多様な出演作で培ってきた実力の全てを出し切って演じる。「何者でもなく、誰もが感じたことのある虚無感を持っている人物を一緒に作り上げることができた」と佐藤監督が言うように、見る者全てを引き込む山﨑の魅力が共感を呼ぶキャラクターを生み出した。
たった一人で“げぇむ”に挑みながら、繊細で方向性を見失いがちなアリスを静かな強さで支えるウサギ役に、本作で山﨑との4作目の共演となる土屋がキャスティングされた。抜群の運動神経でこなす役柄には、どんな苦境でも「生きる意味」を探し続ける気概がみなぎる。一方で、佐藤監督が言う「弱さを見せることもためらわない本当の強さ」を、土屋に備わったしなやかな情熱で表現されている。
アリスとウサギの並外れた特性にいち早く気づく、ミステリアスなチシヤ役に村上虹郎。頭脳派だがアリスとは正反対な冷静沈着さを備えたオーラを醸している。高校時代からの仲間である会社員のチョータ役に森永悠希、バーテンダーのカルベ役に町田啓太。原作者の麻生羽呂が、「アリスとチョータとカルベは、自分を三等分した分身のよう」と言っているように、まるで一心同体のように互いを補い合うケミストリーが感じられる。
「生きる」意味を見出せなかった若者たちが、かつてないほどに「生きる」ことに正面から向き合い、生き抜くために助け合いながら自分を乗り越え成長していく様を、超一級の俳優陣が総力を挙げて描き出す。
登場人物たちの目線で参加するリアル謎解きドラマ
ある日街から人が消え、変わり果てた世界で謎の“げぇむ”に参加させられるという、圧倒的に不条理な設定で本作は幕を開ける。当たり前の日常が覆される恐怖と、それがいつ起きてもおかしくないという現実感に、見るものはまず冒頭から一気に引き込まれる。
二者択一の「生きるか死ぬか」や、誰もが子供時代に遊んだ「おにごっこ」「かくれんぼ」など、一見ルールはシンプルである。だが、そこで試されるのは人間の根源的なサバイバルスキルであり、見るものに「自分だったらどうするか」という問いを突きつける。見るものが、あたかも壮大な一つのゲームに参加しているかのような、臨場感たっぷりのゲーム感覚におちいる、まさに「リアル謎解きドラマ」である。
本作を「予想のつかないことが起こる中で、『どう生きるか』をもがく人間を描いた物語」と捉える佐藤監督は、一方で、「なぜこの“げぇむ”に参加しなければならないのか」その理由を常に考えたという。「一つ一つの“げぇむ”を通してさらけ出される人々の心情や葛藤、過去が去来し、絡み合う」作品を目指したそうだ。
主人公アリスは、優秀な弟と比較され続け、人生に意味を見出せず鬱々とした日々を送っていた。夢も取り柄もなくゲームに熱中するだけという現代的な虚無感漂う人間が、そのただ一つの特性により“げぇむ”で思いもよらないパワーを発揮していく。
目を背けてきた過去や自分の弱さが次から次へと露呈される“げぇむ”をクリアするたびに、アリスは自分を受け入れ成長を遂げていく。それはもう一人の主人公、ウサギも同様である。敢えて仲間を作らず孤独の中で“げぇむ”に挑んできたウサギは、アリスの姿を通して生きる意味を再確認するのだ。極限の世界にあってもなお、参加するすべての者たちの間に繋がりが生まれ、そこで誰もが共に変化し成長を遂げる。“げぇむ”をクリアすること、それはつまり、自分を知り、他者を受け入れるという試練を乗り越えていくことでもあるのだ。
いつ日常が奪われるかわからない恐怖心、それは、本作の根底に流れる原作コミックの重要なテーマの一つだ。10年前の作品でありながら、遜色のない普遍性を持って受け入れられるのは、今の時勢ならではだろう。明日にでも死んでもおかしくないのに、何故生きているのか。生きるための戦いに突き動かす希望とはなんなのか―登場人物たちの直面する問いに、見るものもまた自分の答えを求められるのである。
佐藤信介監督とNetflixのタッグ、“今際の国”の世界観の実現
“今際の国”を作り上げるのに最重要視したのは、徹底したリアリティを出すことだった。こだわりぬかれたビジュアル世界を可能にしたのが、佐藤組のVFXチームと美術チームだ。
「日本で一番有名な渋谷スクランブル交差点を登場させることに、監督はこだわった」と美術チームの斎藤岩男は語る。駅に逃げ込んでから人の消えた渋谷を目にするまでのアリスたちをワンカットで撮るプランだったため、カメラに写りこむものすべてを作る必要があった。
撮影は、栃木県足利市に建設された大規模なオープンセットで行われた。同時期に中国映画『唐人街探案3』の撮影があり、合同でセットを制作した。
VFXチームと美術チームは、事前に綿密に話し合い分担を決め込んでいったという。当初、アリスたちの待ち合わせ場所はスターバックス前だったが、ガラス張りのセットはコストがかさむため、駅前の看板前に変更となった。結果的に、道路と東口の改札口以外はほぼグリーンスクリーンでのCGとなった。「本来は、東急ビルの影ができる場所だと撮影監督が頭を抱えていた。そこを、合成でマッチングさせた」とVFXチームの土井淳は明かす。さらに、人気のない廃墟は絵に見えてしまうのでCGの葉で動きを見せたり、美術チームが散らばったゴミや汚れなどの質感を出すなどして光の無い、無人の“今際の国”の渋谷を作り出した。
予算や時間を現実的に見極めながら、時には現場で急遽調整しなければならないこともあった。佐藤組のVFXチームと美術チームの共同作業は、『デスノート Light up the NEW world』(16)、『アイアムアヒーロー』(16)、『BLEACH』(18)、『いぬやしき』(18)に続き、本作が5作目。「おにごっこ」の舞台となる公団住宅のシーンではビルの構造に合わせて脚本を書き換えたり、臨機応変に対応できるのが監督を筆頭とした佐藤組の強みであり、長年の信頼関係があってこそだった。
さらに、本作の新しい試みは、バーチャルスタジオでCGのみのプリビズ(シミュレーション映像)を作ることだった。水が押し寄せてくるシーンがある。水の量、挙動をシミュレーションするにあたり、CGの背景や車を置き、そこに撮影監督がキャプチャースタジオで撮ったままの動きが反映されることで、スタッフ全員が撮影前に具体的なイメージを共有し、試行錯誤して撮影に臨むことができた。水にはこだわりがあり、土井によると「限られた空間で水の挙動を最大限に見せるため、車や壁にあえてぶつけて飛沫を出すなど、荒々しさを加えた」という。
佐藤組が誇る最高峰のVFX映像は、全編に散りばめられている。4話に登場するトンネル内の黒ヒョウは、VFXチームが事前に動物園を回り毛の質感や動きを研究。またウサギがバスに乗り込むワイヤーアクションシーンは、走っているバスと別々に撮影して組み合わせるなど細部にこだわりカメラワークに柔軟性をもたせリアルさを追求した。
全編を通してVFXをリードしたのは日本のデジタルフロンティア。Netflixの東京、シンガポールのVFXチームと連携し、監督も交えて会議を重ねた。また5話のトラは、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(12)のトラを制作しアカデミー賞を受賞したエリック・ジャン・デ・ボアがスーパーバイザーを務めインドのVFX会社アニブレインが制作し、日本、シンガポール、ロサンゼルス、インドの4カ国からVFXチームが結集した。土井は海外と組んでポストプロダクションを行うのは初めてだったという。
「世界に向けて配信されるからには今まで以上にハイクオリティなものを出したい」というVFXチームと美術チーム共通の想いが、全話に長編映画並みのクオリティを実現した。
音楽はTVアニメ『東京喰種トーキョーグール』や『GREAT PRETENDER』、映画『キングダム』を手掛けたやまだ豊による、豪華2枚組約2時間28分にて構成。
- ALICE IN BORDERLAND
- DOLDRUMS
- MIRROR MAZE
- OBSTRUCTION
- PERIPHERALS
- RAINFALL
- BEYOND THE MIST
- SOULBOUND
- GARGOYLES
- NERVE
- RETROSPECT
- THE LOOKING GLASS
- ASHES
- PORTAL
- IRON FIST
- PARANOIA
- UNEARTHED
- SUN RAYS
- ACCIDENTS OF CHAOS
- THE ABYSS
- ARMOUR
- HIDDEN CARD
- ETERNITY OF REALITY
- DELIRIUM
- ACE OF SPADES
- LUNE
- FILM OF TIME (Alt. Ver.)
- GAMEMASTER
- GOOD TIMES [JAN ERIK NILSSON( a.k.a. EARTRAXX )]